クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:サメ撃退装置が付いているとしても《びくびく度9》

2004年07月21日

サメ撃退装置が付いているとしても《びくびく度9》


サーフィン中にサメに襲われる・・・日本ではあまり聞かない話だが、フロリダやハワイなどではよくあることらしい。たとえば、ハワイで13歳の少女がサメに片腕を食いちぎられた話は有名だ。彼女(Bethany Hamilton)は、それでも復帰してサーフィンに打ち込んでいる。

オーストラリアのSeaChangeという企業がサメ撃退装置付きのサーフボードを年末までに発売すると発表した(年末って冬じゃないかと思ったあなた、あちらでは年末が夏ですからね)。奇しくも、SeaChange社がこの製品を発表するわずか数日前に、29歳のサーファーがパース近郊のマーガレット リバー河口域でサメの犠牲になったばかりだった。彼は仲間の見ている前でサメに襲われ、仲間に救出されたが、海岸に到着する前に息絶えたという。

サメの頭部サメの頭の先端には鼻のようにとがった部分があるが、そこには電磁波に反応する受容器官(レセプタ)があるという。この装置は、サーフボードの周囲に一種の電磁バリアを発生させる。

サメの鼻先の受容体(脳の中枢部に繋がっている)がこのバリアに近づくと、サメは「不快感」を覚えてしまう。それでもサメがさらに接近すると、サメの筋肉が「痙攣」を起こすのだそうだ。

このShark Shield (サメ撃退装置) 付きのサーフボードは、もちろん世界初の試みだ。ただし、撃退装置そのものは、南アフリカでアワビ漁のダイバーたちがサメ避けの檻に取り付けていた装置が基になっており、その装置の製造元からライセンスを受けることになる。

現在のところ、2通りの設計のShark Shieldが試作されている。短いアンテナがボードを追尾する設計と、ボードの下側に楕円形の電極を取り付ける設計の2つである。

さて、こんな商品が売れると思いますか? サメも怖いけど、サーフィンにはもっといろんなリスクがある。わざわざ荒れた海に出かけるサーファーがサメを怖がるのかな? 安けりゃ売れるかもしれない。だけど、PL(製造物責任)の部分もしっかりしていないと、アメリカや日本の市場には出せないだろう。

電磁波を応用した装置を水中(とりわけ伝導率の高い海中)で使うのには感電のリスクが伴うし、サメに襲われるより製品の欠陥や故障・劣化によりユーザーが感電するリスクの方が高いくらいかもしれない。

オーストラリアでは、過去200年間で人がサメに襲われる事故が625件発生しているというデータがある。200年間で625件ですよ。年間にすると約3件。意外に少なく思えるかもしれない。625件のうち、被害者が死亡したのは187件。年間1人死ぬかどうか。このリスク発生確率をどう見るか。ちなみに全世界でサメによる被害が最も多発しているのはフロリダ沿岸だそうで、2003年にはこの水域だけで31件もの被害があったという。

それともうひとつ、そもそも本当にこの装置、効き目があるのだろうか。もしこの装置を使用していたにも関わらずサーファーがサメに襲われてしまったら、どうなるだろうか。いくらバリアが張ってあっても、突進してきたサメが急停止または急旋回してくれるだろうか。

たとえば、同じようにライオンを寄せ付けないLion Shieldなるものが自分の体に装着されているとして、あなたはライオンが何頭もいる檻の中に平気に入っていけますか? 筆者なら遠慮しておきたい。

たとえShark Shieldが付いていても、実際に自分に近づいてくるサメの背びれが海面に見えたときに感じる「びくびく度」は、ほぼ満点の9ポイントに相当すると思われる。

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