クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:トラに食われる住民が後を絶たないガンジス川デルタ域の島

2005年04月15日

トラに食われる住民が後を絶たないガンジス川デルタ域の島


ガンジス川デルタ域の衛星画像トラは絶滅危惧種である。しかし、まるで車が人をはねるように、トラが人を襲っている島がインドの西ベンガル州にある。ガンジス川河口デルタ域に位置し、サンダーバーンズ国立公園に隣接するゴサバ島である。ゴサバ島の住民たちは、トラに食われることを“traffic accident”ならぬ“tiger accident”と呼んでいる。

たとえば、猟師のゴパル・マリクさんは、父親、叔父、二人の兄弟、そして娘婿をトラに食べられてしまった。娘婿がトラに食われたのは6年前のことだった。

その日、マリクさんと娘婿を含む5人の男たちが隣の小島に木材を収集しに行った。小島に上陸した5人の前に、突然、トラが現れた。全員が恐怖に絶叫し、森の神ボノ・ビビに祈りを捧げた。
獲物に狙いをつけた猫がそうするように、トラは、ぴたりと動きを止めた。娘婿が駆け出した。しかしトラの動きの方が速かった。娘婿はトラに真正面から襲われた。たった一撃でトラは娘婿を殺してしまった。

サンダーバーンズ国立公園には、約270頭のトラが生息している。その付近で漁や木材採集をしたり、密林の奥深くに分け入ってハチミツを採集したりすることは、ゴサバ島の住民にとって日々の暮らしの一部である。しかし、トラに襲われるリスクが常に付随する。

これまでに、150人ないしは200人の島民がトラに食われてしまったという。(補足:これらの島は中州の島で、島と島の間には海ではなく、川があるようだ。トラたちが川を泳いで島から島に移動したりもするのだと思われる)。

コサバ島の土壌は、農作物を育むのに適していない。島民は、みんな痩せ細っている。生きていくには、自分たちの命を危険に晒すことを覚悟のうえで、トラの生息場所に立ち入るほかないのだという。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とは少しニュアンスが違うかもしれないが。

コサバ島の住民に限定しなければ、毎年、サンダーバーンズ国立公園内でトラに殺される人の数は、なんと20人から30人にも上っている。

「トラに食い付かれたら、生き延びるチャンスはほとんどありません」とマリクさんは言う。マリクさんは、自分の父親がトラの餌食になったときにも現場に居合わせた。しかし、自分自身が生き延びるには、父親を見殺しにするほかなかったのだという。

父親がトラに襲われたのは28年前のことだった。死体が見つかることはなかった。そもそもトラに襲われた人の遺体が見つかることは、ほとんどない。

日本でも北海道ではヒグマを“オヤジ”と呼ぶが、ゴサバ島の人たちはトラのことを「グレート・アンクル(大オヤジ)」と呼んでいる。島民たちは、トラの性質を“狡猾”と表現している。

「だいたい、トラは獲物から見えないように身を潜めていて、突然、獲物に襲い掛かります」と語っているのは、ハチミツ採集で暮らしているブトナト・モンダイさん。彼も、父親をトラに殺された。自分自身も、間一髪でトラの歯牙から逃れた経験がある。

獲物を捕らえるのに失敗すると、トラは立ち去って行く。しかし、必ず戻ってくる。

サンダーバーンズ国立公園の責任者の1人、M.A.ウォハブさんは、こう話している「トラが目前に現れて、人間と目が合ったときは襲ってきません。目が合っていれば、トラの方がむしろ人間に襲われることを怖れるからです」。

これを根拠に、地元当局では、人間の顔のお面をハチミツ採集人たちに与えている。そのお面を背中につけていれば、背後からトラに教われずに済むのだという。(日本でも山でクマと出くわしたときは目をそらすなとかいう話があるが、本当にそれが正しいかどうかは定かではない)。

「ただし、獲物を捕らえることに成功したトラは、獲物を口にしっかりくわえて、走りもせず、まるで英国紳士のようにゆうゆうと歩き去っていきます」とウォハブ氏は付け加えている。

トラが人間を襲うのは川の近辺でのことが多いが、トラが国立公園の外に出て、近隣の村に入り込んだり、水田に身を潜めたりすることもある。つい最近も、そんなトラがいたという。2001年から2004年にかけて、ゴサバ島島の村に侵入したトラは、なんと16頭にも上る。

そのような場合、大声で叫んだり、ドラムを叩いたりしても、ほとんど効果はない。森林警備官を呼ばなければならない。森林警備官は、麻酔銃でトラを眠らせる。眠ったトラを公園内に戻す。

ともあれ、冒頭にも書いたが、誰かがトラの餌食になったとき、島民たちはそれを“tiger accident”と呼ぶ。偶発的な事故だと考えるほかないのだろう。

だが、この地域では、食物連鎖においてトラが人間の天敵になっている・・・という見方もできる。自分たちの天敵をことごとく排除してきた人類の歴史において、かなり珍しいことではないか。トラが絶滅危惧種で、保護されなければならないことは当然としても、一抹の歯がゆさを感じないでもない。

歯がゆさ2■■□□□□□□□□


実は、この話のソースを見つけたのは、昨年暮れのスマトラ地震の数日前だった。記事にしようかと思っているうちに、津波が起きてしまった。つい最近、中国の動物園で子供がトラに噛み殺された事故のことを取り上げたばかりだが、興味深い内容なので記事にすることにした。




■ Source: Man-eating tigers cause chaos in Bengal : HTTabloid.com


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1. 人食い虎の島  [ どうでもいいこと ]   2005年04月15日 21:30
インドのとある島では、虎に襲われる人が後を絶たないのだとか。 じゃあ虎を駆除すれ...

この記事へのコメント

1. Posted by 尼崎   2005年04月16日 21:33
ベンガルドラは虎の中でもかなり巨体なんだよね。しかし凄い環境。

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