G- なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?

2005年04月05日

致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?


エボラ・ウィルス近頃、われわれが住んでいるアジア圏は、もっぱらSARSと鳥インフルエンザの脅威にさらされている。そのせいか、アフリカ大陸で多数の犠牲者を出しているエボラ・ウィルスのことは、すっかり話題にも上らなくなった。エボラ・ウィルスは、感染者の50パーセントから90パーセントが死に至るという極めて強力な病原性を持つウィルスである。

特に、1994年にはガボンと中央アフリカ共和国でエボラ出血熱が流行し、発症者451名、死者351名を数えた。さらに、2000年にはウガンダで流行し、発症者425名中、224名が死亡した。

エボラ・ウィルスは、今日に至るまで感染経路がまったく解明されていない。しかし、ガボンのフランスビル・メディカルリサーチセンターのエリック・レロイ博士を中心とする研究チームが驚くべき研究結果を発表した。

レロイ博士らは、エボラ・ウィルスに感染しても発症せずに媒介者となる動物がいるのではないかと考えた。そして、人間にとって最も身近な動物である犬が媒介者(ウィルス・キャリア)になっている可能性があるという結論に達した。

これまで、チンパンジーなどの動物に接触した人がエボラに感染した例が報告されている。しかし、チンパンジーは人間と同様にエボラ・ウィルスに体を蝕まれて死んでしまう“終末宿主”である。

レロイ博士らのチームでは、エボラに感染した動物の死体を食べた犬がウィルスのキャリアとなるかどうかを調査するために、ガボン国内の以下の3つのエリアから犬の血液サンプルを300匹分採取した。

  • 2001年と2002年にエボラ出血熱が流行したいくつかの村。
  • 人間への感染例が報告されたメカンボ市。
  • 流行地域から600キロも離れていたのに人間への感染が数例報告された2つの都市(リーブルビルおよびポールジャンティール)。


研究チームでは、採取した犬の血液中にエボラ・ウイルス抗体が含まれているかどうかを調べた。その結果、上記の3つのエリアすべてにおいて、犬がエボラ・ウィルスに接触していたことが証明された。

血液中の抗体蛋白質量を測定したところ、流行地域に近いほど、抗体の量が多いことがわかった。このことから、ある地域で犬の血液中の抗体量が多ければ、その地域ではエボラ・ウイルスの活性が高く、人がエボラに感染するリスクも高いと判断できるという。

研究チームでは、さらなる調査が必要としながらも、犬がエボラ・ウィルスに感染しても発症しない動物である可能性を指摘している。

さらに、感染地域と宣言されていないエリアから採取したサンプルにもエボラ・ウィルス抗体が認められたことから、犬が日常的にエボラ・ウイルス本来の“宿主動物”と接触している可能性もあるという。つまり、エボラ・ウイルスとの関連が未だに知られていない何らかの動物と犬の間に何らかの接触があることが疑われるのである。

したがって、エボラ本来の宿主(おそらく無脊椎動物)を特定することがエボラ対策のキーになるわけである。

ともあれ、身近な犬がエボラのキャリアになってきたのが事実とすれば実に意外な話である。こういうのを灯台下暗しというのだろうか。

意外性9■■■■■■■■■□


当ブログとしては珍しく、純粋にサイエンティフィックな話を取り上げたが、犬が無症状のままエボラを媒介することが事実であれば、恐ろしいシナリオも描けてしまう。エボラの保菌者になっている犬が欧米や日本に上陸したらどうなるだろうか。

検疫があるので、ありえない・・・と言うことなかれ。たとえば、貨物船の船員が現地で見つけた猫や犬を船に乗せてしまうというのは珍しい話ではない。そのまま、その船が日本などに寄港したときに、船から脱出して上陸するかもしれない。ただし、その前に船内でエボラが流行してしまう可能性の方が高いだろう。

むしろ、犬がエボラにかかっても平気な動物だとすると、同じくイヌ科のリカオンなどにも共通することかもしれない。あるいは、もっと範囲を広げて“食肉目”の動物がおしなべてエボラと共存できるとしたらどうだろう。食肉目ネコ科には、動物園やサファリパークでお馴染みのライオンやチーターなどがいる。

もう1つのシナリオとしては、テロに悪用されないかという点である。ガボンやコンゴなどで調達したエボラ・キャリア犬をなんらかの形で密輸するだけで、ターゲット国に甚大な被害をもたらすことができる可能性がある。

まあしかし、こういう話が出ると、犬たちの先行きが不安である。今後の調査で犬がキャリアとしてエボラ流行に関与してきたことが立証されようものなら、感染地域の国々で犬が駆除されることになるだろう。

ところで、AIDSやエボラなど、人類史に突然降って沸いたように流行するウイルスは“エマージング・ウイルス”と呼ばれる。このようなウイルスは、多くの場合、人跡未踏のジャングル奥地など、文明から隔離された場所にいる宿主の体内で、宿主にも他の動物にも何の害も及ぼさずに存在してきたものなのだ。しかし、文明との接点が生じると、人類に恐ろしい伝染病をもたらしてしまう。

「動物奇想天外」なる番組で、歯並びの悪い動物学者がアマゾン奥地に出向いて珍しいサルと接触したりしているのを見るにつけ、大丈夫かと言いたくなる。ややこしいものを日本に持ち帰らないでもらいたいものだ。




■Sources:


当ブログの全記事一覧を見る


この記事の先頭に戻る

Google
WWW を検索 評点




トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 新ウイルス  [ the beginner ]   2005年04月05日 12:52
日本ではあまり報道がされてないようだが、今アフリカではあまり知られていないウイルスによって、子供を中心にかなりの被害が出ている模様である。 英国高級日刊新聞ガーディアンによると、現在すでにイタリア人医師を含む150人が亡くなったという。...
2. 死神エボラの乗り物は犬?  [ FC2N:黄泉 ]   2005年04月06日 03:31
私のBlog仲間のMiccckeyさんの所(なんでも評点)で、 高い致死率を示す恐怖の伝染病、エボラ・ウィルスに関する記事がアップされて ...
3. RSS  [ PukiWiki/TrackBack 0.2 ]   2005年04月06日 14:26
ITmedia 疑惑のMacエミュレータ「CherryOS」が公開中止に 米Google、地図サービスで衛星写真の提供開始 PSPでWeb閲覧やチャットも――ハッキングで新機能続々 Napsterが売り上げ予想を再度引き上げ、携帯サービスが好調 Rambus、DRAM性能を4倍にする新技術を発表 GoLiv...
3つの話題をまとめてみます。 【映画】感染 元ネタは「世にも奇妙な物語」の小作品。 昨年見た予告編は面白かったんですが、本編はダメですなぁ。 バイオホラー仕立てで行くのか 心霊ホラーで行くのか 医療事故をテーマにするのか 結果的に総花的で終盤失速です
5. 四川の奇病について  [ 転蓬にっき ]   2005年08月02日 01:48
四川の奇病のこと、情報が錯綜していて詳細を把握できませんが、気になったページを列...
6. 謎の感染症が人類を襲う  [ 食べたり、読んだり ]   2005年08月04日 02:58
なんて、おいしそぉなタイトル、笑。「謎の感染症が人類を襲う」著者の名前に見覚えあるな、と思いきや寄生虫博士こと藤田紘一郎センセイではないかー。エボラやブルーリー潰瘍など、世界の謎の感染症と寄生虫。思いつかなかったけど、確かに関係が大アリだ。内容は最近広ま...

この記事へのコメント

1. Posted by MoMo太郎   2005年04月05日 22:20
 エボラウィルスってそういうものだったんですか。本当に勉強になりました。そういえばSARSの時も、なんか変な動物が中国で殴り殺されていましたし、鳥インフルエンザもニワトリが遠ざけられたり。
 でも、そんな動物と共生していくことが、大切だと歯並びの悪い動物学者は言いたかったりして。
2. Posted by ぶにん   2005年04月05日 23:45
確かに、アジア各地で生息または飼育されている犬が、媒体となれば恐ろしい事態を想像してしまいますね。むむむ。
3. Posted by タガート   2005年04月12日 22:11
エボラで検索して辿り着きました。。
「文明から隔離された場所」。。そーですね。
これらのウィルスは、有史以前から存在しているハズです。
元々は、人間もウィルスも共存出来たんです。
古代文明を見ても、現代の様に、ウィルスの脅威に曝されていた記録は確認出来ないですね。
これは、当時の人間は自然に対し畏敬の念を持って暮らしていたからでしょう。
現代は、利便性だけを考えた結果、文明を暴走させました。
自然のバランスが大きく崩れて、エボラやエイズが蔓延している。
その意味で、「人災」て言えなくも無いのですね。。
4. Posted by haru   2005年09月30日 20:22
豆知識
エボラの一番最初の患者は
たしか ジョン ノーダイク ってアメリカのエール大の学生だったはず。

日本人も注意すべきだね。
5. Posted by もし   2005年10月27日 15:06
もし、エボラが空気感染したら、
どおなると思いますか。 
6. Posted by .   2006年10月15日 09:53
米>>5
人類 とっくに お匹襦ヾガス
7. Posted by lulu   2008年04月28日 20:54
*5
エボラ・レストンという種類は空気感染の能力を持っていたと推定されてました。
レストンとはワシントンDCの郊外の街
その霊長類センターで確認されたところから命名されてます(確か)
無防備なセンターの職員と陽圧防護服を装備したCDCの職員がセンター内で鉢合わせしたそうですので あの年、人類は絶滅の危機に瀕していた。と言えるでしょう。
奇跡的にエボラ・レストンはヒトへ感染しない株だったようです。
ずいぶん昔に読んだ『ホットゾーン』でそういった記述があった気がする。。。

現代の赤死病と呼ぶに相応しい激烈な症状が空気感染で拡大していく。
考えただけで背筋が寒くなります。

レストン株がザイール株並の死亡率(90%)を獲得し、潜伏期間が2週間程度あれば
*6の言う通り 人 類 終 了 

8. Posted by エイイチ   2008年09月06日 11:43
“エボラ出血熱”に関する、エリック・レロイ博士の仮説は、大変参考になりました。
しかし、SIV(サル免疫不全ウイルス)とエボラウイルスの関連性は、論文の中で指摘していない様ですネ。
1950年 ポリオワクチンの開発の為、アメリカの学者3人が研究を始めたのは、南アフリカのコンゴです。 無謀な研究の結果、SIVがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に遺伝子操作され、そこで精製されたワクチンがエイズの蔓延に繋がったと言われています。
エボラ出血熱が発生したのは1976年、エイズと同じコンゴです。 犬が死肉を食べるのは、オオカミ時代からの習性です。 何故、近年になってエボラウイルスの媒体となったのか、はなはだ疑問です。
こう考えると、辻褄が合います。
犬が、エイズ感染者の死肉を食べ、新たな病原体を造った。
案外、“エボラ・エイズ説”に信憑性があるのではないでしょうか?
明細は、ホームページ『現代医学の功罪』に記載されています。 興味のある方は、一度検索して下さい。
9. Posted by ジョン   2009年08月27日 18:24
バイオウィルスレベル4 エボラウィルスは、とても恐ろしいウィルスですね。 もしかして、ゲーム「バイオハザード」が現実になるかもしれませんね
10. Posted by 加奈枝   2012年05月16日 22:04
ノアの箱舟って必要かも
11. Posted by 山菜   2012年05月16日 22:18
テロ国家がワクチンを開発すればこわいね。韓国・北朝・中共が開発すれば・・日本が壊滅しても朝日は自業自得と強弁するだろうな
12. Posted by click through the following website page   2014年05月09日 23:37
e hookah pen なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
click through the following website page http://samuelelers.se/iolite-vaporizer-e-juice-uk-9012.asp
13. Posted by link homepage   2014年05月10日 16:46
liquid soap なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
14. Posted by More Bonuses   2014年05月11日 00:18
esmoke なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
15. Posted by you can find out more   2014年05月11日 02:27
ejuice calculator なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
16. Posted by just click the next post   2014年05月11日 12:08
e cigarettes for sale なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
17. Posted by have a peek at this website   2014年05月11日 17:02
e-liquid nicotine なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?
18. Posted by moved here   2014年05月11日 18:32
e hookah pen なんでも評点:致死率90%のエボラ・ウィルスは犬が運んでいる?

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔