G- なんでも評点:女子色情症扱いされた少女が市中引き回しの刑に

2005年03月08日

女子色情症扱いされた少女が市中引き回しの刑に


破廉恥行為で世間を騒がせているフジテレビ社員にしてモーグル五輪金メダリストの里谷多英がニンフォマニア(女子色情症)なのかどうかは知らないが、インドではニンフォマニアと決め付けられた17歳の少女がヒドイ目に遭わされたそうである。

ウッタルプラデシ州のカウシャンビ地区で、ある日のこと、シャストリジという名のタントラ教僧侶が自分の信者たちに、17歳の少女ウシャを処刑しなければならないと宣告した。「なぜなら彼女は尽きることのない情欲の塊であり、これまでに無数の男性と交わってきた。ウシャの罪は重く、火刑に値する。火刑にしなければ、これからも未来永劫にわたって男漁りを続けるであろう」。

さらに、シャストリジ僧侶は、数日前に5歳の少年の死体が池で発見されたが、それもウシャの仕業だと言明した。彼は、水晶玉ならぬカラシ油のポットにウシャの犯行シーンが再現されるのを見たことを根拠に、ウシャが有罪であることを皆に確信させた。まるで魔女狩りである。

地元民の多くは、ウシャを火刑に処すことに賛同した。しかし、さすがに冷静な人たちもいるのだろう。群集の一部から異議があり、妥協策として、ウシャを全裸でさらし者にし、最大の辱めを与えてやろうということになった。

ウシャは着衣をすべて剥ぎ取られ、全身にタールを塗られた。さらに頭髪はすべて剃り落とされた。その姿でロバに乗せられ、“市中引き回しの刑”にされた。ロバを借りるのに要したお金は、ウシャのポケットから抜き取られた。

もちろん、インドも法治国家である。こんなことが許されるはずがない。5名が逮捕された。日本で言うと、公然わいせつ、強要、拉致などに相当する罪に問われることになる。

しかし、地元民は、警察の対応にまったく納得できない。ウシャは魔女なのだから、あらゆる方法で彼女に攻撃を加えてよいのだと信じている。今度は、なんで5名を逮捕したのかと抗議行動が始まってしまった。

池で死んだ5歳の少年に関して、警察は、その死因を溺死と判断している。死体のどこにも不審な傷がなかったためである。しかし、その説明を受け入れようとする者はほとんどいない。警察官が現地に派遣され、5名の逮捕に反対する騒ぎの収拾を図ろうとしているとのこと。

いまだに魔女狩りまがい(あくまで“まがい”である)のことが行われていることに驚く人がいるかもしれない。しかしどうだろう。冒頭で触れた里谷多英さんの件にしても、もし彼女が一般人ならニュースになることもなく、一部メディアやネットで祭りになることもなかっただろ。こういう祭りには、どこか魔女狩りに似た匂いがする。

さらに、小倉秀夫弁護士が“IT法のTop Front”ブログコメントスクラムと命名なさったブログ界の現象にも、魔女狩りに通じるものがあるかもしれないし、ないかもしれない。

筆者は論評よりも分析を好む人間なのだが、この文脈を少しだけ延長してみよう。“IT法のTop Front”ブログの記事「まとめコメント(コメントスクラムと「常識」の押し付け)」に次のような箇所がある。

善意のコメンテーターの中には、自分の考えを「常識」と見なしてこれをblog主に押しつけようとする傾向のある方々が少なからずおられるようです。そして、同じような思想傾向の方々がそれなりに複数存在していることがネット上で確認できると、自分の考えこそが「常識」であるとより一層確信してしまう傾向があるようです


少女ウシャの場合だと、タントラ教僧侶シャストリジとその信者が「常識」を共有している。町を悪魔から守るためには、その使いである少女ウシャを処刑しなければならない。しかし、さすがに法の下で自分たちの「常識」を完全に貫くことができないことは彼らも理解していたから、火刑はやめにして、さらし者にした。

コメントスクラムの場合は、あくまでバーチャル空間における攻撃である。実際に相手に物理的打撃を及ぼす方向には走らないし、そんなことをしたら犯罪である。

上の住民たちも、火刑にせず、さらし者にすることで妥協したわけで、あえて法を守るための妥協策が犯罪行為に当たるとは考えてもいなかったのだろう。だから5名が逮捕されたことに対して抗議行動に出ている。

コメントスクラムには、自分たちの書き込みが犯罪に当たらないという大前提がある。その前提の下、常識をわかっていない奴をやっつけて常識をわからせてあげなければならない。魔女ウシャに恥をかかせて魔力を奪おうとしたのと同じように。

どこか似ているように思うのは筆者だけだろうか。筆者の主観では、次くらいの共通性が感じられるのだが。

共通性6■■■■■■□□□□


ただし、決定的に似ていない点がある。魔女狩りは参加しなければ、魔女扱いされてしまいかねない。コメントスクラムは別に参加しなくてもいい。

【注】筆者は小倉弁護士の発言にガッカリさせられたことがあるが、コメントで抗議する気にもならなかった。




'Nymphomaniac' paraded naked in UP : HTTabloid.com

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2. 17、宿題忘れ  [ 誰も教えてくれない面白ネタ私が考えてあげます。 ]   2005年03月08日 21:07
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この記事へのコメント

1. Posted by happy-mouse   2005年03月08日 02:25
一ヶ月も前にこんな事件があったとは・・・
(゚〇゚;)
2. Posted by 8ユーロ   2005年03月08日 02:52
まあ中には『ある●大生の一日』のように、スクラムコメント大募集の場所もありますからね。

参加したくなくてもつい

反省。
3. Posted by miccckey   2005年03月08日 13:59
>happy-mouseさん

「一ヶ月も前」って何のことでしょう??? 

>8ユーロ さん

お気持ちはわかります(笑)。

私は何より時間が惜しいです。コメントスクラムに参加するのも仕掛けられるのも。
4. Posted by 逆に考えると   2005年03月08日 14:52
Blog主=扇動者
肯定的コメンテイター=現地住人
否定的コメンテイター=警察・官憲(常識)
という例えも可能ですね。
こちらの方が、ローカルとグローバルの対応に近いのでは?
5. Posted by miccckey   2005年03月08日 15:02
>逆に考えると さん

「肯定的コメンテイタ」が多数存在する場合は、そのメタファも成立しますね。たとえば堀江社長ブログなんかがそうだったりして?(笑)

小倉弁護士とか、小池編集長の場合は、「肯定的コメンテイタ」がごく少数で、四面楚歌に近い状態だったのでは? 東大生さんもそうかな?

ただ、コメントを匿名で付けることができる場合、コメントスクラムはブログ主の方が圧倒的に不利な立場になるような気がします。小倉弁護士とか、小池編集長とか、あるいは北海道のマスコミ関係者の場合は、ブログ主自身の身元が完全または半分ほど割れているわけで、さらに不利だったりするかも。
6. Posted by sb   2005年03月09日 01:03
議論を求めてなり、自分の意見を他人に表明するためにblogを開設し、自らの考えを、自分で決断してネット上に表明したblog主と、その少女をに関連を見いだすことはちょっと無理があるかと・・・
小倉氏とネットスクラムに関する言説だけに絞った方がよろしいのではないでしょうか?
7. Posted by miccckey   2005年03月09日 02:48
>sbさん

sbさんがブログを上記のようなものと捉えておられるのは、よく理解できました。ただ、当ブログはそういうスタンスではありません。

議論を求ていないし、自分の意見を他人に表明することに重きを置いていません。

通りすがりの方には理解しにくいかもしれませんが。
8. Posted by sb   2005年03月09日 03:53
いえ、あなたのblogの運営方針じゃなくてですね、小倉氏=blog主の話ですよ?あー、自分の文章だとそれを指定してなかったんですね。
小倉氏の場合、実名を明記し、自分の言論に責任を持つ事を公言されておられるお方ですからblog運営においても能動的な実行者であると思うのですが。
9. Posted by miccckey   2005年03月09日 04:03
SBさん

読み違いでした。すみません。
本日ば外出予定につき詳しくレスできませんが明日お返事します。
がっかりさせられたとか紛らわしい点もあるかと思いますが小倉さんを批判するつもりはありません。
10. Posted by nakatasyunsuke   2005年03月09日 17:05
インド怖いっすね!!
11. Posted by ムシムシ   2005年03月09日 23:56
タントラ教ってヒンズー教の一派だと記憶してます。
ヒンズー教なら、儀式を行うのはバラモン階級の人だと思います。それより下の階級なら、バラモン階級の人の意見に従うとおもいます。

バラモンはブラフマン(宇宙の真理)と同じだと見られているから、バラモンの決定は正しいと周りの人達が思っても不思議ではないと思います。

バラモンの決定に対し警察は、法により5人を逮捕した。バラモンの決定なのに、何故逮捕されるのか、抗議した。

そんな感じを受けました。

この記事の事件と、コメントスクラムと「常識」の押し付けは似て非なるもののように思えます。
12. Posted by ひろこ   2005年03月10日 04:26
インドは・・・・・大変女性に厳しい国です・・・・。
ワタシがインドでお酒を飲んでいたら・・・・・・
お客の男性インド人に・・・ずっと睨まれていました・・・・。
女性が酒場でお酒を飲むなんて・・・・
・・・・インドでは信じられない行為なのだそうです。
「女のクセに」という目で・・・にらまれていたわけです・・・。
13. Posted by miccckey   2005年03月10日 13:03
>sb さん&ムシムシさん

一見無関係なものを関連付けて1つの記事にするというのは、当ブログの芸風の1つみたいなものです。大目にみてやってほしいと思います。

うちのブログは、しょせんその程度のブログなんですよ。別に自分の考えが正しいから誰かに押し付けようなんて思っていもいないし、かといって誰かの考えが正しいから従わないといけないとも思っていない。

>All

近々、当ブログのコメント欄の仕様を変えようと思っています。完全に閉じてしまうことも考えていますが、URLまたはメアドの記入がないコメントは非表示にするか、別の場所に飛ばす方法を検討しています。

ここに書いたことは、改めて詳しく掘り下げて記事にしたいと思います。


14. Posted by ろな   2006年03月19日 17:22
単に全裸にさせたかっただけじゃw

ちなみに、魔女狩りじみた裁判はインドだけじゃなく、あろうことかアメリカでも未だ行われていたりするみたいです。

その事件は1993年にアーカンソン州でおきました。幼児がでん部を噛まれるなどの虐待を加えられ、ダミアンというカトリック教徒の少年が、幼児殺害の容疑で逮捕されました。彼の逮捕につながったのは、知的障害を持つ地元の住人が彼が犯人だと証言したためです。しかし、その知的障害を持つ住人は、他の地元住民(殆どがプロテスタント)に脅され言いくるめられていたというのが実態だと後に判明しました。さらにいうなら、殺された幼児のでん部についた歯型はその父親のものに酷似していたそうです。
(続く)
15. Posted by ろな   2006年03月19日 17:23
これを知った全米メディアは、酷い人権侵害だとしてアーカンソン州の警察当局を非難しました。そこで他の州から来た人権団体が、歯型を調査しようとしたところ、その父親は突然、全ての歯をぬいてしまい、結局調査はできませんでした。
こうしてダミアン少年は、裁判にかけられるのですが、アメリカの裁判は地元住民から選ばれた陪審員が裁く陪審員制です。地元住民は、普段からカトリック教徒であるダミアン少年を嫌っており、どうにかして彼の自分達の地から追い出したいと考えていました。
(続く)
16. Posted by ろな   2006年03月19日 17:23
こうした人たちによる裁判は、しょせんデキレースで弁護側がどんな証拠を出しても、ダミアン少年の死刑は覆りませんでした。まだ死刑は執行されていないようですが、そのうち執行されるかもしれないとして、アメリカの人権団体は目を光らせているそうです。

この事件は、「パラダイス・ロスト」という名前でドキュメンタリー映画になっているそうです。

妊娠中絶禁止にしてもそうですが、アメリカは世界一の先進国といいつつ、実は非常に原理宗教色が強い国。そういう国だからこそ、人権が声高に叫ばれるのでしょう。人権がなければ、まさに魔女狩りじみた行為が横行してしまうから。
17. Posted by けいじ   2006年09月23日 11:55
>常識をわかっていない奴をやっつけて常識をわからせてあげなければならない

こういう気風、ネットどころか日本中にあると思います。
不条理なことでも、集団心理みたいなのでそれが彼らの常識、法律となっていること。
親戚の会合の料理や片付けをするのは女性の仕事で、それに異を唱えようものなら冷たくされるとか。
ジェンダーフリーバッシングとかは、そういう『常識をまもれ』的な、言ってみれば村的思考なものの象徴じゃないでしょうか。
理屈で考えることをしない人たちの常識と、指導者(『つくる会』とか)の意見に基づいた、根拠も何もない主張。
そして宗教(統一教会)との強い結びつき。
インドの奥地と一緒じゃん。
18. Posted by     2009年05月31日 09:26
日本だったらオカルト漫画の題材にしかならない話がリアルにある世界。怖い。

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