2005年01月04日
スマトラ沖地震の津波で2万9千人(1月3日現在)もの犠牲者が出たスリランカでは、津波の後、魚介類の売り上げが激減した。水揚げが激減したのではなく、消費が激減したのである。
いつもなら賑わいを見せているはずの魚屋には誰も寄り付こうとしない。スーパーマーケットが仕入れる魚介類の量も半減した。レストランは、魚介類をメニューから外してしまった。
ある魚市場では、通常、500グラムあたり3ドル程度で取引されているクルマエビの価格を1ドルに下げても、買い手が見つからない。なんとか鮮度を保とうとして、スプリンクラーで木箱の中の魚介類に水をかけているが、生臭い匂いがどんどん強くなっていく。
なぜ、スリランカの人たちは魚を食べようとしなくなったのか?
いつもなら賑わいを見せているはずの魚屋には誰も寄り付こうとしない。スーパーマーケットが仕入れる魚介類の量も半減した。レストランは、魚介類をメニューから外してしまった。
ある魚市場では、通常、500グラムあたり3ドル程度で取引されているクルマエビの価格を1ドルに下げても、買い手が見つからない。なんとか鮮度を保とうとして、スプリンクラーで木箱の中の魚介類に水をかけているが、生臭い匂いがどんどん強くなっていく。
なぜ、スリランカの人たちは魚を食べようとしなくなったのか?
海に流されて亡くなった犠牲者たちの亡骸が魚やエビやカニの餌になったに違いない。人肉を食べた魚介類は汚染されており、それを食べると病気になる。多くの人たちがそう信じているせいである。一種の風評被害のように見えるが、実際に犠牲になった人の数を考えると単なる“風評”で済ますことができない面もある。
スリランカのニアマル・シリパラ・デ・シルバ厚生大臣はAP通信の取材に対し、こう話している。「科学的な観点から見れば、津波の後で水揚げされた魚介類を食することに支障はないはず。これは、あくまで人々の心理的な動揺による一過性の風評だと思います」。
災害管理センターのティラク・ラナビラジャ所長も、こんなふうに語っている。「自然の摂理から言えば、死体が魚やエビの餌になることもあったでしょう。しかし、心配する必要なんかないのです。(死体を食べた魚を食べることは)豚を食べることと変わりません。豚はゴミや残飯を食べます。そして、その豚をわれわれは普通に食べているではありませんか」。
この所長の言葉、消費者(いや被災者や遺族というべきか)の神経を逆撫でしてしまうようにも見えるが、漁業への打撃をなんとか緩和しなければならないと思いあぐねて、無理やりひねり出した詭弁なのだろう。実のところ、奥歯に物が挟まったような表現しかできないのだろう。同情してしまう。
さて、このニュースは正月休みにも熱心に情報収集している日本の商社マンの目に既に止まっているかもしれない。スリランカで売れない魚介類を超安値で買い付けて、日本のスーパーマーケットで売りさばけばかなりの利益が期待できそうだから。
不謹慎だと言われる心配もあまりない。スリランカの漁業を支援して復興に協力したいという大義名分を掲げればいいだけのことだし。
もしこうして買い付けられたスリランカ産の魚介類が店頭に並んだら、日本の消費者は、どう反応するだろう? やっぱり、死体を食べたかもしれない魚介類は敬遠されがちにも思う。だけど、情報を巧みに操作すれば大丈夫かもしれない。もし現実にそのようなプロジェクトが実行に移されたとしたら、当ブログで先に種明かしをしてしまっていたということになるが。
【1月4日午後付記】
初稿では第5段落の最後の文が「一種の風評被害だとも言える」となっていたが、某所で“違うだろう”という指摘があるのを発見。たしかにおっしゃるとおり。書き直しました。
■ Source: CBS News | Sri Lankans Stop Eating Fish
スリランカのニアマル・シリパラ・デ・シルバ厚生大臣はAP通信の取材に対し、こう話している。「科学的な観点から見れば、津波の後で水揚げされた魚介類を食することに支障はないはず。これは、あくまで人々の心理的な動揺による一過性の風評だと思います」。
災害管理センターのティラク・ラナビラジャ所長も、こんなふうに語っている。「自然の摂理から言えば、死体が魚やエビの餌になることもあったでしょう。しかし、心配する必要なんかないのです。(死体を食べた魚を食べることは)豚を食べることと変わりません。豚はゴミや残飯を食べます。そして、その豚をわれわれは普通に食べているではありませんか」。
この所長の言葉、消費者(いや被災者や遺族というべきか)の神経を逆撫でしてしまうようにも見えるが、漁業への打撃をなんとか緩和しなければならないと思いあぐねて、無理やりひねり出した詭弁なのだろう。実のところ、奥歯に物が挟まったような表現しかできないのだろう。同情してしまう。
はがゆさ8 | ■■■■■■■■□□ |
さて、このニュースは正月休みにも熱心に情報収集している日本の商社マンの目に既に止まっているかもしれない。スリランカで売れない魚介類を超安値で買い付けて、日本のスーパーマーケットで売りさばけばかなりの利益が期待できそうだから。
不謹慎だと言われる心配もあまりない。スリランカの漁業を支援して復興に協力したいという大義名分を掲げればいいだけのことだし。
もしこうして買い付けられたスリランカ産の魚介類が店頭に並んだら、日本の消費者は、どう反応するだろう? やっぱり、死体を食べたかもしれない魚介類は敬遠されがちにも思う。だけど、情報を巧みに操作すれば大丈夫かもしれない。もし現実にそのようなプロジェクトが実行に移されたとしたら、当ブログで先に種明かしをしてしまっていたということになるが。
【1月4日午後付記】
初稿では第5段落の最後の文が「一種の風評被害だとも言える」となっていたが、某所で“違うだろう”という指摘があるのを発見。たしかにおっしゃるとおり。書き直しました。
■ Source: CBS News | Sri Lankans Stop Eating Fish
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1. 1/4のニュース こんな慌しくてマジレンジャー [ 放浪癖さんあっちへふらふら日記 ] 2005年01月04日 14:52
7度ってあったかいんだな〜。ほえほえしながらニュース盛りだくさんな今日。あぁ、頭パンパン、ヘイヘイ。
スタート。
□死体を食べたかもしれない魚を食べたくない − 魚介類が敬遠されるスリランカ
□あれほど津波の可能性を警告していたのに − 無視されたタイ人...
2. 津波と水産物消費 [ すいさんWatch ] 2005年01月05日 06:47
魚介類が敬遠されるスリランカ
時々こういう話を聞くこともありますが、日本ではどうなのでしょうね?オリジナル記事はこちら。翻訳サービスなど使ってみてください。
3. スリランカのお魚事情。 [ 小心者に明日はあるのか? ] 2005年01月05日 15:40
そう思うと確かにお魚食べにくいですねぇ。。
4. まだまだ続く?スマトラ沖地震の余波 [ モリノガネ ] 2005年01月05日 18:46
スマトラ沖地震が起こってから結構たちますが、まだまだいろんな話が出てきていますね。 感動話、動物の危機回避能力、予言、いたずら、これからどうなるか、ついには宇宙人説などさまざまです。 現在一番新しそうなのは津波孤児が誘拐されて売られるかもしれないという
5. 魚の餌 [ 日記風 ] 2005年01月07日 00:55
死体を食べたかもしれない魚を食べたくない
人間死んだら所詮は炭素。
またこれで、津波で死んだ方の呪い的な事を
言い出すバカがいるのでしょうが、
食用として殺され、その上食われず処分された
魚の呪いの方を心配したらどうなのだ。
これらの魚介類が文のとおり日本に
この記事へのコメント
1. Posted by ムシムシ 2005年01月05日 15:30
今年もよろしくお願いします。
日本の商社も手は出さないと思いますよ。
甲殻類は、生きてる間に加熱、冷凍処理しないと「臭み」が発生して、日本人に食べろっていったって無理だと思われます。甲殻類には「うるさい」国民ですから。
魚も、死後硬直が解けないうちに加熱、冷凍処理しないと、味がぐっと落ちます。スリランカから輸入するには、難しいかもしれません。
ちなみに、魚は死後硬直が始まってすぐに調理した場合と、死後硬直を見切って調理した場合と、死後硬直が完全に解けた状態で調理した場合では、味に凄く差がでます。死後硬直がとける直前が旨いです。
日本の商社も手は出さないと思いますよ。
甲殻類は、生きてる間に加熱、冷凍処理しないと「臭み」が発生して、日本人に食べろっていったって無理だと思われます。甲殻類には「うるさい」国民ですから。
魚も、死後硬直が解けないうちに加熱、冷凍処理しないと、味がぐっと落ちます。スリランカから輸入するには、難しいかもしれません。
ちなみに、魚は死後硬直が始まってすぐに調理した場合と、死後硬直を見切って調理した場合と、死後硬直が完全に解けた状態で調理した場合では、味に凄く差がでます。死後硬直がとける直前が旨いです。
2. Posted by miccckey 2005年01月05日 15:57
>ムシムシさん
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
スリランカからの水産物輸入の件については、今から、とある貿易業者の新年会に参加してくるので、実情をリサーチしてみようと思っています。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
スリランカからの水産物輸入の件については、今から、とある貿易業者の新年会に参加してくるので、実情をリサーチしてみようと思っています。
3. Posted by しゅふ 2005年01月05日 23:39
国によっていろいろ違うんですね。よく分かりました。