2004年05月19日

異星人からのプレゼント...《ありがた迷惑評点 N/A》

眠りから解放された地球人が感じるありがた迷惑さ

「この星の住民は、1日の3分の1くらい休止状態になるようです」
「ということは人生の3分の1を無駄にしている?」
「そういうことですね。われわれには考えられないことです」
「あまりにも可哀想だから助けてあげよう」

地球よりはるかに技術が進歩した星からやって来た彼らにとって、地球人が眠らなくても生きていけるようにすることなんか、たやすいことだった。彼らは、一種の自己増殖型ナノマシンを地球上にばらまいた。

これらのナノマシンは体内に入ると、それまで睡眠が担ってきたあらゆる役割を引き受ける。だから、眠らなくても身体の疲れは取れるし、余分な記憶だってクリアされる。

もちろん、地球人も馬鹿ではないから、眠りが必要なくなった原因を調査して、すぐにナノマシンの存在を突き止めた。電子顕微鏡で拡大すると「人生を無駄にしちゃいけないよ - 宇宙人より」のメッセージが刻印されていることまでわかった。

たしかに眠らなくていいのは便利なことだ。地球人たちは、異星人からのプレゼントをありがたく頂戴することで一致した。

おかげで、寝込みを襲う犯罪は激減し、居眠り運転による事故は皆無になった。犯罪者やヤクザ屋さんも活動しにくくなり、治安が大きく改善された。

その反面、ホテル業界、寝具製造・販売業界、製薬会社など、睡眠につながりの深い業種は軒並み大打撃を受けた。寝酒の必要もなくなったので酒類の売り上げも落ちた。

このナノマシン、成長が止まった成人にしか「感染」しないようにプログラミングされていた点までは異星人に十分な配慮があったと言える。しかし、成人の場合、病気になっても眠ることができないのだ。

全身麻酔をかけると痛みはなくなるのだが、意識のあるまま大手術を受けなければならない。精神的苦痛が極限に達するため、物理的に手術が成功しても廃人になる患者が増えた。どうせなら、あらゆる病気を自動的に治してくれる機能まで用意してくれればよかったのに、異星人たちには思いやりがかけていたようだ。病人たちがいつまでも起きてるので、過労死するナースも激増した。

さらに、夜間のエネルギー消費が爆発的に増加してしまった。その結果、世界各地で大停電が繰り返し発生した。大停電が続くとき、人々は思うのだ。もう暗くなったんだから、寝るしかないじゃないかと。だけど眠れない。

という場合のありがた迷惑さ評点は、個人が感じるありがた迷惑さを世界の人口で乗算した上、さまざまな副作用を考慮に入れなければならないため、例外的に評価不能とします。